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収蔵庫に眠るプラネタリウム投影機【コラムリレー第41回】

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小樽市総合博物館の収蔵庫には、旧小樽市青少年科学技術館(以下「旧科学館」)で活躍していたプラネタリウム投影機が眠っています。その名を「GS-8S」と言います。プラネタリウム(光学式)は、原版を通りぬけた電球からの光が、まるで本物の星空のようにドーム面に映し出される星空シミュレーターです。

1963(昭和38)年に旧科学館が開館の時「S-3」が、初代のプラネタリウムとして設置され、多くの来館者に星空を楽しんでいただきました。そして、二代目として1976(昭和51)年に導入されたのが、この五藤光学研究所製「GS-8S」でした。当時、日本国内で一般公開されているプラネタリウム館は、およそ100館ほどでしたが、現在では400館にものぼる世界有数のプラネタリウム大国となりました。そしてこれまでに「GS-8S」は国内に12台が設置され、現在でもなんと8台が稼働しています。(一般公開しているのは4館)

プラネタリウム投影機は人間が操作をする「マニュアル機」から、自動的に各種演出を行える「オート機」へと進化を進めて行きました。過渡期の機械である「GS-8S」の特徴は、「セミオート」と呼ばれるシステムです。それまで日の入、日の出の演出は、投影担当者がイメージするものになるように、両手を駆使してたくさんのボリュームを操作して作りあげていたのです。それがセミオート機では、制御部分の調整を行っておけば、投影のたびに苦労していた日の入り、日の出の明るさや色の変化等の演出をたった一つのボタンで簡単に行うことができるようになったのです。

2007(平成19)年、総合博物館へ旧科学館が統合される際に、残念ながら「GS-8S」はその役目を終えました。しかし、いつの日か復活する可能性も残し、機械を破棄せずに慎重に分解し、最低限必要な機材を保存しているのです。

現在プラネタリウムは、パソコンやプロジェクターの性能の進歩を受けてデジタル化のスピードを増しており、光学式とデジタル式のハイブリッドタイプが増えているようです。星空の再現に留まらずプラネタリウムのドーム空間では、様々な映像体験ができるようになっています。小樽でも総合博物館開館に合わせて、三代目はデジタルプラネタリウムへのバトンタッチを果たしています。ただし、投影の構成は昔ながらのスタイルで、きれいな本物の星空を眺めてもらいたいという思いから、今夜の「小樽の星空」の紹介を生解説中心に行っています。

<元小樽市総合博物館(現市立小樽美術館・市立小樽文学館) 学芸員 旭 司益>