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お手軽な史料調査道具?【コラムリレー06 第35回】

今回、ご紹介するひみつ道具は、古文書などをスキャンする道具です。特段秘密というわけではないのですが、学生の頃からこれを使って調査などに出かけでいました。

 専門柄、古文書を扱うことが多いのですが、その際には古文書の撮影を行って、後からでもデジタル画像で確認できるように整理をしています。というのも、古文書=古い文書というだけあって、破れているものや、バラバラになりそうなものなど、必ずしも状態よく残っているとは限りません。なので、そうした状態のものはなるべくデジタルで資料として残して、劣化を防ぎたいところです(もちろん状態が良くても、デジタルにします)。
 そこで、私が使用しているのは、FUJITSUの「Scan Snap sv600(スキャンスナップ)」です。

古文書の読み取りイメージ
(実際には下の台の部分にPCに接続するUSBケーブルがつながります)

 これの魅力は、どこにでも持ち運ぶことができる手軽さで、スキャンスナップとパソコンだけあれば、画像を読み取ることができます。ちなみにサイズは、高さ40㎝×横20㎝×奥20㎝と、場所を取らずに使用することができます。個人の方が古文書を所有していて現地で撮影など行う場合などは、広くスペースを使うことができない可能性もあるので、このサイズは重宝します。
 不便な点があるといえば、読み取ることができるサイズは決まっているので、軸ものや大福帳などサイズ大きいものになると、どうしても収まりきらないといった点もあります。あくまで、A3サイズ位ものまでと割り切った使用が必要になるかもしれません。
 本来であれば、高画質なカメラと撮影台を使用しての撮影が一番望ましい形なのですが、色々と折り合いがつかず購入が難しいということも。。。ただ、これでも十分な解像度は維持することはできていて、個人的にはこれはこれでありなのかなと思っています。

実際に読み取った古文書

 博物館を利用する人の中には、古文書などの史料を探しに来る方たちもいて、立ち合いの元、閲覧していただくこともあるのですが、やはり古文書の状態によっては、なるべく出しずらいものあります。
 後世にこうした貴重な史料を残しつつ、誰でも利用できるような形にするには、こうしたデジタルでの保存はやはり重要にだと思います。

 ただいま絶賛、博物館の古文書やらを整理している最中で、いつ終わるのやらと呆然としていますが、地道に作業していきたいと思います。。。

〈士別市立博物館 学芸員 中村圭佑〉