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大型アンモナイトのウラ側

【コラムリレー08「博物館~資料のウラ側」第25回】

 博物館や自然史への興味を引くためのキラーコンテンツの一つは「化石」です。「化石」の中でも特に着目されるのは大型の「恐竜」と「大型のアンモナイト」です。世界的に有名な化石産地である北海道は、ちょうど大型アンモナイトが繁栄した時代の地層が分布しているので、大型アンモナイト化石も産出します。そして、中川町や三笠市、むかわ町穂別では当たり前のように大型アンモナイトが展示されています。そのウラ側についていくつか紹介します。

ウラ側1 大型アンモナイトのウラ側にはホコリがたまりやすい

 北海道は冷房不要とされていた感があるので、夏季の博物館では入口が開けっ放しになっていたりしています。そうすると大型アンモナイトのような不定形の大型展示の底やウラ側にはホコリがたまりがちになります。夏季は定期的に掃除するように気を付けていますので、むかわ町穂別博物館ではホコリはあまり見られなくなりました。また、穂別博物館にも今年からエアコンが常備されますので、ホコリがたまる心配は少なくなっていくはずです。

図1 ホコリがたまりがちな大型アンモナイトのウラ側。展示されている面ではないので、少しわかりにくいのですが、オモテ側よりも総じて化石の保存状態が良くないことも見てとれます。

ウラ側2 そもそもどちらがアンモナイトのウラ側か?

 見た目のきれいなほう=保存状態の良いほうがよく見えるように展示しています。そうすると、見た目のきれいな方がオモテで、反対側がウラ側となります。

 たいていの大型のアンモナイトは、地層に“横たわる”姿勢で化石になっています。化石になる過程で、地層の圧密によってアンモナイトの殻がつぶれることもあるのですが、下側になったほうほど先に殻の中に泥や砂などの堆積物が充填するので、下側になったほうが圧密の影響が小さい(図2;Maeda, 1987)ことが多いです。これ以外の原因で大型アンモナイトの“上側”の保存が悪いこともあるのですが、川ズレしていない大型アンモナイトにかぎると、展示されている面はほとんどが地層の下側になったほうになっていて、ウラ側は殻が部分的につぶれていることが多いです。

図2 大型アンモナイト産状の一例の模式図。大型アンモナイトの地層中の保存状態を地層およびアンモナイトの断面で見ているもの。地層の上側にあたる部分が部分的に圧密を受けている化石産状。Maeda (1987)をもとに作図。

ウラ側3 大型アンモナイトの回収方法

 アンモナイトの殻は生きていた時はガスもしくは液体が入っていたところと軟体部が入っていたスペースなので、殻だけだともともとはすごく軽かったはずです。ところが、化石として我々の前に姿を現した化石アンモナイトは、大部分が岩石なので、とても重くなっています。私の場合、直径40~50cmぐらいのアンモナイトであれば何とか背負うこともできるのですが、それ以上になると一人では持てません。また、40 kg前後のものを平地で持つのと、地面が平らではない河原や沢の源流で背負うのとではわけが違います。足元が不安定な野外では化石がかなり重く感じます。

 こうした大型アンモナイトを持ち帰るために、ソリを改良したり、木製の木枠を作ったり、網に入れるなどしたうえで、数人で引きずり上げる形で沢から持ち出しています(図3)。毎回、大変な思いをして、重い大型アンモナイトを持ち帰っています。

図3 大型アンモナイトの回収風景(2018年)。この時は市販のソリを改良して、大型アンモナイトを回収した。

文献:Maeda, H., 1987: Taphonomy of ammonites from the Cretaceous Yezo Group in the Tappu area, northwestern Hokkaido, Japan. Transactions and Proceedings of the Palaeontological Society of Japan, New Series, no. 148, p. 285–305.

(むかわ町穂別博物館 学芸員 西村智弘)