【コラムリレー08「博物館~資料のウラ側」第37回】

こういうタイプの箱もあれば、机と一体化しているようなものもありますが、「箱」にアンケートや質問を書いた紙を入れた経験のある方も多いでしょう。あの「箱」です。
もちろん博物館にだけあるものではありませんが、博物館で書いたあの紙、あの箱に入れた後はいったいどうなったのか…?気になりますよね。
ちゃんと中の人たちに読まれていて、日々の活動に活かされているのです。
そんなウラ側を紹介します。
どんな感じで活用されているの?~箱のウラ側の日常~
展示の感想をたずねるアンケートから、アイヌ文化についての質問を受け付けているコーナー、北海道内のおすすめの博物館をたずねる参加型の展示など、私の勤務する博物館内だけでもいくつもの場所で色々書いた紙を「箱」に入れてもらっています。

毎日閉館後にスタッフが「箱」の中から紙を回収し、どれどれ…と内容を見つつ、日付ごとに整理します。書かれている内容によっては、このタイミングで関連分野の学芸員に共有したりもします。
次に、紙に書かれた内容をパソコンに打ち込み、入力後の紙はファイルなどにつづり、様々な声が一覧できるようになります。
どのコーナーでも概ねこのように処理されていて、これらは展示担当者やコーナーの担当部署に引き継がれ、内容に目が通されています。
展示のアンケートでいえば、展示室で観覧中の来館者の様子をそっと覗かせてもらえば、どんな受け止め方をされているのかおおよその見当はつきますが、アンケートを取って数値化することで声に説得力をもたせることができます。
また、展示の感想のうち、ここが見づらい・わかりにくいなどの声で、すぐに対処可能なものには企画展の会期中に補助的なパネルを追加したりすることも。
様々な意見があるのですべての声に100%対応するのは難しいのですが、
- 今回ここが良くなかったようだから次の展示ではこうしよう
- いつもと違う層の方たちが来てくれたようだ
- 詳しい方からのありがたい情報提供
- どこで広報したのが効果的だったのだろう? など
それぞれの担当が展示内容や広報などの博物館活動の改善につなげています。
参加型展示からわかったのは?~活用の一例として~
北海道博物館の総合展示室の最後のところにこんなコーナーがあります。

このコーナーは、来館者の皆さんに投書をしてもらうコーナーで、2015年のオープン時から随時テーマを更新しています。今は「おすすめのミュージアムをおしえて!」というテーマにしていて、このテーマになってからだいたい1年半経ちました。
北海道内にあるミュージアムのうち、おすすめのところを来館者の皆さまに教えてもらう企画で、1年間で531枚もの回答が集まり、おすすめされたミュージアムの数は175件にのぼりました!
年代やお住まいなども答えていただいたので、解析をすることで色々なことが見えてきます。
どんなことがわかったか、ちょっとだけ紹介します。
- 小学生以下くらいの子供に大人気!
この企画は子どもたちに人気で、半分以上が10代以下の人の回答でした。これまでに行った楽しかった施設をいっぱい教えてくれました。
- 道内在住の方と道外在住の方とでは回答傾向が違う!
道内在住者には石狩・空知・後志エリアの施設が推されていて、道外在住者には石狩・オホーツク・上川エリアの施設が推されていました。
あくまで当館利用者の傾向ではあるのですが、道外からの旅行者の方には札幌から離れた博物館も巡っている方も少なくないことがよくわかります。
- マニア向けに人気のキーワード
歴史、ゴールデンカムイ、鉄道・交通、アンモナイト、動物、アイヌ、炭鉱…など。
なんとなく、当館利用者の興味関心の傾向がわかります。
様々なマニア向けのおすすめミュージアム情報が寄せられました。
詳細は北海道博物館研究紀要(鈴木ほか 2026)にまとめました。まもなくオンラインでも公開されますので、ご覧ください。
おわりに
私の勤務館では、学芸員が来館者と会う機会は残念ながらあまり多くはありません。
来館者からの質問があればもちろんすぐに対応するのですが、博物館の裏で仕事をしていることも多いので、「箱」への投書や展示解説スタッフの日報からお客様の感想やお声を聞くのは緊張しつつも楽しみにしていることの一つでもあります。
アンケートには良いところも悪いところもぜひ率直にご回答いただけると嬉しいです。
【引用文献】 鈴木あすみ, 渋谷美月, 鈴木明世, 高橋佳久, 青柳かつら, 櫻井万里子, 2026. 参加型展示コーナー「おすすめミュージアムをおしえて!」における来館者の声の1年間の集計および解析. 北海道博物館研究紀要11: 13-20.(印刷中)
<北海道博物館 学芸員 鈴木あすみ>
集まれ!北海道の学芸員 ようこそ北海道の博物館へ