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収蔵庫は資料館のウラの顔 収蔵庫と「たわし」

室蘭市民俗資料館では、収蔵庫の多くの部分を「収蔵陳列室」として公開しています。地域の歴史等をご紹介する常設展示室と比べ、松材で組まれた固定式収納棚に整然(自己妄想)と陳列された収蔵庫の資料。

まちの歴史を知りたい方は別ですが、陳列室の見学を喜ぶ方が多い傾向にあり、特に収蔵資料を実生活で使用した世代には抜群に受けがよく、解説する学芸員より面白いお話をされる方もいます。

収蔵陳列室(収蔵庫)

そんな収蔵庫に並ぶ資料は常設展示資料の2軍的な目で見られがちですが、担当学芸員の考え方や、まちや館の状況によっても収蔵内容が大きく異なります。当館の場合は石炭ストーブなど「鐵」に関する資料が豊富だと感じています。鉄のまち室蘭という環境から、金属類の再利用のため集められたスクラップが多く集結した時期があり、その宝の山の中に突入して収集した館の先人たちは様々な金属に関する貴重な資料を収蔵庫に残してくれました。

亀の子たわし

多くの鉄資料は収納時には赤さびが出ており、そのままでは収蔵できないので、当館では亀の子たわしで磨き上げています。亀の子たわしはご存じのようにヤシの実の繊維(パーム)でできており、たわしで擦ると赤さびは取れてきれいに仕上がります。しかし、たわしにはヤシの油性分はほとんど残って無いそうです。仕上がりがよくない場合には油性分の多い「カルカヤたわし」を仕上げに使用すると、黒さびの保護膜ができるようで、見た目もきれいで資料管理にも良いようです。

また、博物館実習の中では体験用せんべい焼き器の洗浄もたわしで行っており、実習生たちは当初疑いの眼差しで見ていたものが、たわしによりきれいに磨き上げられていく過程に驚愕の表情に変わっていき、たわしに対する認識が変わって実習を終えていきます。

当館収蔵庫の貴重な金属資料の収蔵には「たわし」と労力が必要で、そこで初めて未来に継承していく資料になっており、現在の来館者も楽しませてくれます。

多くの博物館等では収蔵庫の開放はしていないと思うのですが、何かの機会に見学することがありましたら、違った視点で是非収蔵庫を覗いてみてください。

洗浄前のせんべい焼き器
洗浄済みのせんべい焼き器(一度使用してしまいました)

室蘭市教育委員会 谷中聖治