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「茂尻C遺跡【コラムリレー第39回】」

江差町には、現在64件の埋蔵文化財包蔵地がある。そのうち開陽丸と茂尻C遺跡が発掘調査された。この2つのうち今回は、縄文時代中期の集落跡であった茂尻C遺跡について紹介する。

茂尻C遺跡が立地している陣屋町は、江差町の中心部より南に位置し、茂尻川から小平沢川に至る海岸部と、小平沢川から武士川に至る段丘の一部地域である。隣接地には、茂尻A・茂尻B遺跡も立地している。
「茂尻」という地名は、アイヌ語で「国・島・土地(中州)」等を意味する「モシル」が語源となっているといわれている。

遺跡は、檜山郡江差町字陣屋町にある檜山振興局増設に伴う工事で発掘調査が行われた。発掘調査は江差町教育委員会が主体となり、昭和62年8月1日~同年12月10日まで行われた。
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調査では、縄文時代中期~後期の遺構・遺物が確認できた。遺構は、竪穴住居跡81軒、墓坑97基、Tピット8基、フラスコ状ピット7基等が検出され、出土遺物は200,069点で、内訳として土器173,842点(復元個体195点)、剥片石器852点、礫石器390、フレイク10,780点、自然石(炉石を含む)9,637点、装飾品など26点、陶磁器片1,906点、カワラ片1,086点などがある。

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出土遺物は縄文時代中期~後期の土器や、完形のミニチュア土器、石鏃やスクレイパー、磨製石斧などが出土している。また、近世近代窯状遺構も確認され周辺からは多量の素焼きの瓦が出土し、窯の中から陶磁器も出土している。

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現在は檜山振興局が建ち、茂尻C遺跡はなくなってしまったが遺跡から出土した遺物や報告書は、地域の遺産として残していき展示など色々な形で町民にいつでも見てもらえるようにしていきたい。

江差町教育委員会 奥山さとみ