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船の側面に書かれているいろいろな記号(マーク)【コラムリレー第20回】

皆さんは、散歩や釣りなどで港に行くことは、ありますか?

海に面していない町の方には申し訳ないのですが、それでも海水浴、釣りには行かれますよね。

当然、港には船が停泊していますが、側面をよく見るといろいろな記号が書いてあるのがわかります。

IMG_0182

この写真は将来、船員を目指す生徒が実習をする、航海訓練所所属の「青雲丸」の船首(せんしゅ)、船のへさきです。

一番目立つのはやはり船名でしょうか、しかしながら、その他に3つの記号か書かれています。まずは、浮き輪のところに数字があり、「青雲丸」の青の字の下にある丸い突起がついたマーク2つ目、最後は写真の右端にある◯に風車に似たマークですこの3つはそれぞれ意味がありまます。決して落書きなどではありません。

1つ目の数字ですが、これは船の喫水(きっすい)、水面から船首がどのくらい沈んでいるのかを表しています。数字には「メートル」と「センチ」を表しているものがとがあります。写真では「6M」と書かれており、これは6メートルという意味です。さらにその上の数字は「2」と書かれており、これは20センチメートルを意味します。ここであれっ?10センチメートルはどこ?となりますが、実はそれぞれの数字の大きさはきまっていて、数字の高さが10センチメートルで書かれているのです。ということは「6M」の数字が水面に隠れていると6メートル10センチになる訳ですがこれを見て航海士は積み荷や燃料、清水がどれだけ積載されているのか確認します。その目安が水深より喫水が深いと船は座礁してしまいますよね。

ここで問題です。下の図でそれぞれ1、2、3の喫水を読んでみてください。

見にくいですが、それぞれの線は数字の上下に接していると見てください。

 

ドラフト001

正解は

1 6M60CM

2 6M10CM

3 5M50CM となります。

 

2つ目の丸い突起のついたマークは、船首の水面下が球状船首(バルバス・バウ)になっていることを表しています。これは船の造波抵抗を打ち消すために設けられています。船首がスリムな方が船の速度早くなると感じるかもしれませんが、船首で水面をかき分けて進む時にできる曵き波の抵抗を小さくするために、丸く突起を作っています。目に見えないところにも危険な箇所がありますということを表しています。

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中央の船舶の船首に丸い突起が見えます。

 

3つ目の◯に風車に似たマークは、本船にサイドスラスターが設置されているということを表しています。これは船体の左右に貫通するトンネルを設けて、その中にプロペラを設置して水流を作り、舵とスクリューだけではできない細かい操船を補助する装置になっています。ちなみにこの船は船首にしか設置されていませんが、船尾にも設置している船もあります。共に使用すると、船の横移動が可能になるという利点があります。大型船が狭い港内で接岸する際には、タグボート(曵き船)の援助を受けて接岸しますが、この装置を使うと船首または船首、船尾が横移動で岸壁に寄せることができるので効率よく接岸できます。

羊蹄丸バウスラスター <所蔵:船の科学館>

右下にあるのがスラスターです。

今回は、船体の記号(マーク)を3つ紹介しました。まだ他の記号や、旗(旗りゅう信号など)があります。

四方美しい海に囲まれた北海道です。

ぜひ、これからはそんなことを気にしながら船を見るとおもしろいかもしれません。

おまけ

旗りゅう信号(正式名、国際信号旗)の話に触れましたので、一つだけご紹介します。

国際信号旗P

港内で上の図のような旗がマストに揚がっていると「本船は24時間以内に出港します」の意味を表します。これはアルファベットの「P」を表す旗でブルーピーターとも呼ばれることがあります。

             小樽市総合博物館 伊藤公裕