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ミュージアムグッズは地元高校生の手作り商品【コラムリレー07 第19回】

はじめに
 博物館や美術館のミュージアムグッズの販売コーナーに入ると、魅力的な商品がたくさん並んでいますよね。今金(いまかね)町のピリカ旧石器文化館にも、小さいながらそんな一角がありますが、数年前に地元・今金高等養護学校生徒の手作り商品を置くようにしたところ、来館者の評判になり、人気商品の一つとなりました。生徒にとっては好調な売れ行きが励みとなり、また地域の歴史や文化に興味を持つきっかけにもなっているようです。
 ここでは、その商品化に至るまでの経過をたどりながら、学芸員の仕事の一端を紹介しようと思います。

今金高等養護学校生徒の紙製品
ピリカ旧石器文化館で販売している紙製品

ポイントは「ここでしか買えない!」
 ピリカ旧石器文化館は国指定史跡ピリカ遺跡に付属する博物館で、展示物の主役は発掘で出土した石器です。また同地区内で、およそ120万年前の大型カイギュウ化石も発掘されており、隣接の収蔵庫には実大の復元骨格模型を展示し、多くの観覧に供しています。
 当館ではオープン初期より来館者サービスの一環としてミュージアムグッズのコーナーを設け、地元ボランティア団体に管理を委託し運営しています。これまで体験学習キットなどを販売していましたが、来館者からしばしば「ここでしか買えない商品が欲しい」との声を受け、何かないだろうかと検討していました。
 そんな2017年春のある時、ふと役場庁舎内のロビーで目に留まったのが、道立今金高等養護学校の生徒が作った紙製品でした。

打ち合わせから販売まで
 今金高等養護学校(進藤仁校長)では、働くことの意味や実践的な職業能力を培うため、生徒自身による商品制作と販売活動が行われており、給食の牛乳パックを再利用した紙すき製品をはじめ、石けんや陶芸作品などを学校教育の中で制作・販売しています。私が気になった紙すき製品を買ってみると、品質が安定していて包装も丁寧で「これは行ける」と直感しました。
 さっそく学校に出向き、教頭・担当教諭と面会して趣旨説明を行い、了承を得ると、その後は次々と話が進みました。商品デザインのコンセプトやロゴマークの使用、解説文など、町教委側で提供できるものは提供し、担当教員と打ち合わせを重ね、ひと月後には試作品ができあがりました。初回販売はレターセットやハガキ等の計40組を夏のイベント「ピリカ遺跡まつり」に合わせてコーナーに陳列したところ、半数以上が売れ、手応えを感じました。
 翌年以降は安定生産体制に入ってもらうことにし、売り場も拡張したところ、これまでの3年間で計606組が販売され、予想以上の反響でした。ある購入者から「インクがにじまないし、ここでしか買えないのが良いね」とのコメントがありました。

レターセット(上)と一筆箋(下)
ロゴマークや原図などは町教委が提供

連携は学校と博物館の双方向で
 上記の販売実績や購入者の評価をつど学校側に伝えたところ、生徒にも「良い製品を作らなければ」という姿勢が見られるようになり、また社会の一員として働いている実感が何より効果を生んでいるとのことです。また、当校では毎年1学年全員が地域学習の一環で、学芸員の案内で町内バス研修を行っており、その際にピリカ遺跡の石器やカイギュウ化石についても学んでいます。その学習で得た知識が2年次の商品制作にも生かされている、との担当教員のコメントがありました。
 今年度からは商品ラインナップに一筆箋を加え、こちらも好評です。これからもこうした双方向にメリットのある関係を大事にし、連携を続けたいと思っています。

<今金町教育委員会学芸員 宮本雅通>