だいぶ遅くなってしまいましたが、2022年1月20日に開催された部会のオンライン研修会でオススメした本を紹介します。
学芸員の仕事というと、展示とか体験事業を思い浮かべる人が多いと思います。八雲のように小さい市町村の学芸員は、展示会一つとっても広報活動やポスターチラシのデザイン、印刷、配布と、展示以外の様々な作業をこなす必要があります。
今回取り上げるのは、ポスター作製で参考にしている本、『一目で伝わる構図とレイアウト 「1枚ものチラシ」のデザイン集』です。
本書の内容は、実際のポスターやチラシを掲載して、どんな要素から成り立っているのか、どんな配置にしたら伝わりやすいのかを解説している本です。他の展示会で「いいな」と思ったポスターを多少は集めていますが、やはり好みのものに偏ってしまうので、様々なポスター、チラシを網羅してくれてるのはそれだけでありがたいのです。さらに、まったくデザインをやってこなかった私にとっては「こういう意図でこういう配置なんだ」という解説が重宝しています。
これまで担当する企画展のたびにポスターを作ってきました。その一部がこちら。2枚だけプロがボランティアで作ってくれたポスターがあるので、どれか考えながら眺めてください。
尾張徳川家関係のポスターは黄色系バック、北海道各地の資料を扱うときは北海道の地図を使う、「やくも」の焼印をスタンプ的に押す…とか、なんとなくルール決めて作っていました。初期のころは、どんなものを展示しているのか説明文を長々と載せちゃったりして、ごちゃごちゃしてるなぁと反省しつつ…
展示している資料をポスターにも多く掲載したい、でもごちゃついちゃう…というのを悩んで、『一目で伝わる構図とレイアウト』収録のものを参考に作ったのが、ペザントアート展ポスターでした。
資料の切り抜き写真を使うにしても、大きさをそろえて規則正しく整列させると見やすいという事例です。うちはポスター印刷も自前なのですが、ふちまで印刷できないため、ふちを切らなくていいようにあえての白バック。全国各地どころか世界各地のペザントアート・民藝・土産品を展示するよっていうポスターです。
なお、本書に出会う前に作って没にした事例が、こちらのポスター
バックは内浦湾(噴火湾)で、八雲から線を出して、八雲の木彫り熊であることを示したのですが…ポスターを他の人に見せたら「宇宙に飛び出してるの?」といわれ、没にしました。日の目を見ることがないポスターなので、ここで供養しておきます。
ちなみにプロが作ったのはこちらの2枚。写真はプロカメラマン、作成は雑誌の編集者と、クオリティが段違いです。なんせ海外から「このポスターが欲しい」という問い合わせ、くるぐらいですから…
正直、illustratorも使いこなせてるか怪しい(もっと手早くやる方法ありそうですが、我流でなんとかやってる状態)なか、これからも企画展をやるたびにデザイン悩んで少しでも行ってみたいと思ってもらえるようなものを作りたいと思います。解説パネルなんかも文章だけでなく、どうやって見せるかというところでデザインは必須。資料の研究だけでなく、あれこれ日々勉強です。
(八雲町郷土資料館・木彫り熊資料館 大谷茂之)