私が今回紹介したいひみつ道具は「ライトボックス」です。ライトボックスは蛍光灯やLED照明が入った箱で、一面が半透明のアクリル板などでできており、透過光を利用して写真用フィルムやセル画などをチェックするために用いる道具です。
現在、当資料館では2019年に寄贈されたガラス乾板の整理作業を行っています。ガラス乾板は明治から昭和にかけて使われていた写真の感光材料、いわゆるフィルムの役割を果たすものです。現在のように家庭それぞれにカメラ等の撮影機器が普及していない時代の写真はとても貴重なものです。写真館などで人物写真を撮る方は多いですが、風景写真なども実は数が少なくとても重要なものです。
さて、このガラス乾板ですが、どのような写真なのか確認して整理しなければいけません。ガラス乾板もフィルムもそのままでは真っ黒でどのような写真なのかわかりません。そこで活躍するのがこのライトボックスです。使い方は簡単で光が透ける面に見たいものを置くだけです。スイッチを入れると内部のライトが点くので、透過光を使ってガラス乾板の細部を確認します。接写台に置くことで撮影の際に使うこともできます。
より活用するために一工夫加え、段ボールでガラス乾板に合わせてフレームを作りました。撮影の時には資料を置く目安になります。撮影の際はカメラを固定しているので、このように置く場所を固定しておくとスムーズにいきます。そしてこのように枠を用意しておくと、余分な光が入らなくなります。作業中は長時間眺めていることになるので、目のダメージカットにもつながります。
ガラス乾板は状態が良いものもあれば、扱いが難しいものがあります。保存状態によっては剥離や銀汚食といった劣化も見られます。当時の様子を絵として見ることができる貴重な資料です。後世に残していくべき大切なものですが、その保存作業に活躍するのがこの「ひみつ道具」です。
<いしかり砂丘の風資料館 学芸員 坂本恵衣>